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トルコの文化① トルコの猫文化

トルコの文化① トルコの猫文化

トルコと猫

トルコを訪れた旅行者の多くが驚くのが、街のいたるところで自由に暮らす猫たちの姿です。  
日本の「野良猫」とは異なり、トルコの猫は警戒心が少なく、人間と自然に共存しています。  
なぜトルコは「世界一猫が幸せに暮らす国」と呼ばれるのか、その背景をご紹介します。

1. イスラム教と猫の深い結びつき


トルコの人口の99%以上がイスラム教徒です。イスラム教では、猫は特別な扱いを受けています。

- 預言者ムハンマドは猫を大変愛したと伝えられており、膝の上で眠る猫を起こさないために衣の袖を切り落としたという有名な逸話が残っています。
- 猫に害を加えることは厳しく禁じられており、「猫を傷つけた者は天国に入れない」とする教えもあります。

この宗教的背景が、トルコ社会に根強い「猫への慈しみ」を育んできました。

2. 街全体で支えられる「地域猫」の暮らし


トルコでは、猫は「誰かのペット」ではなく「街の住人」として扱われます。

- モスク、市場、カフェ、商店街など、どこに行っても猫が自由に寝そべっています。
- 店先には水と餌が常備され、魚屋やレストランでは余った食材を猫に与えるのが日常風景です。
- 冬には段ボールと毛布で簡易的な猫ハウスを作る人も多く、街ぐるみで保護する意識が浸透しています。
- 去勢・避妊手術(TNR)も獣医師やボランティアによって積極的に行われており、耳先をカットされた猫を多く見かけます。

3. 世界的に知られるトルコの著名な猫たち

グリ(Gli)
  イスタンブールのハギア・ソフィア博物館(現モスク)に住んでいた三毛猫。オバマ元米大統領や多くの観光客に愛され、2020年に亡くなった後も記念プレートが残されています。

トンビリ(Tombili)
  イスタンブールの路地でリラックスした姿勢で座る写真がSNSで大ブレイクした猫。2018年に亡くなった後、住民が銅像を建立し、今も人気の記念スポットとなっています。

4. ドキュメンタリー映画『KEDI』が世界に伝えた魅力


2016年に公開されたトルコ映画『KEDI〜イスタンブールで暮らす猫たち〜』は、イスタンブールの7匹の猫を追った作品です。  
猫と人間の温かい関係を描き、世界中で高い評価を受けました。この映画を通じて、トルコ独自の猫文化が国際的に認知されるきっかけとなりました。

おわりに


トルコでは猫は「飼う/飼わない」の二択ではなく、街に暮らす一員として自然に受け入れられています。  
その結果、猫たちはストレスなくのびのびと生き、人々も猫とのささやかな触れ合いから癒やしを得ています。

トルコを旅する際は、歴史や食だけでなく、ぜひこの「猫との共生文化」にも目を向けてみてください。  
きっと、心が温かくなる体験が待っています。